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タイトル:美脚に服従
出演:橘レイ女王様
作:石田智郁

〜プロローグ〜

175センチという長身と美脚を誇る、橘レイは、ファッションデザイナー。
モデルと言っても遜色の無い、美しく気品ある女性だ。
次から次へと舞い込む仕事を、難なくこなし、いつでも高貴な笑顔を絶やさぬ彼女の元には、彼女をモノにしたい男性が常に、デートの誘いを申し込んでいた。
だがしかし、彼女は多忙を理由に全ての誘いを断っていた。
彼女の多忙の理由…ファッションデザイナー、橘レイとして決して語られる事の無い、密かなもう一つの顔が存在していたからである。

〜第1章 仕掛けれた罠〜

最近、橘レイの自宅には、毎晩のように下着泥棒が忍び込んでいるようだ。
図々しくも既に21枚のパンティーを盗まれている。
しかし、21枚のパンティーを盗まれて、わからない女性が居る訳はない。
毎日、手の届くわかりやすい場所に橘レイ自身が下着を吊るしていたのだ。
下着は彼女にとって、魚釣りの「エサ」以外の何物でもなかった。
職業柄、衣類はどれだけでも手に入る。
どんな魚がかかるのか、愉しみの一つであった。

忙しい彼女の生活は、一見華々しく思えるが、ストレスも溜まって仕方が無い。

橘レイのもう1つの顔…。
それは、下着というエサにひっかかる男を、とことん貶める事だった。

既に、この手口にひっかかり、橘レイの従順な奴隷に成り下がった男がいた。 警察に突き出すと脅し、嫌がる男に罵倒を浴びせた瞬間の快感は、得も言われぬものだった。
けれど、時が経つにつれ、彼女は奴隷に飽きていた。
あまりにも出来が良くなってしまった、何でも言う事を聞く男が、鬱陶しくなっていたのだ。
そこでまた、下着をわかりやすく吊るし出したのだ。

21枚…ほぼ、休み無く通いつめてパンティーだけを盗んでいく男を想像した。
間抜けに口でも開けて、ニヤニヤ笑いながら泥棒を繰り返しているのであろう。
下着の代わりに「いつもご馳走様」と書いた、何とも腹立たしいメモをはさんできた。
下着を盗まれる事に全く気付かない女だと思い、どんどんエスカレートしてきたのだ。
けれど、橘レイは、ほくそ笑んでいた。
この一ヶ月かけた、長い長い釣りも、そろそろ佳境を迎えている。

橘レイのエサに引っかかっている事を未だ知らぬ、変態男は、無類の下着マニアであった。
自宅には数え切れないダンボール。
収集する事、身に着けて悦に入る事、下半身に擦り付ける事…とにかく下着が大好きだった。
それは彼の、自分自身へのコンプレックス。
生身の女性に相手にしてもらえない自分への、勝手な自己弁護と、歪んだ欲望を心に秘め、毎夜毎夜、自転車を走らせては、様々な女性の下着を盗み、自己満足に浸っていた。

下着泥棒歴の長い変態男の中で、最近一番のお気に入りが、橘レイだった。
何度か、帰宅する時間に待ち伏せをし、何食わぬ顔をしてすれ違ってみたことがある。
スラリと伸びる脚に、目が釘付けにならぬよう、白々しく通行人の振りをした。
顔を直接見るのは、怖かったので、遠くから覗いたら、抜けるような肌の白さを持って自分の人生とは正反対に自信に満ち溢れているように見えた。
絶対に、交わる事のない人種だと思うと、劣等感が激しく湧き上がり、とにかく出来る限りの枚数の下着が欲しくなった。
変態男は下着の中でも、特にパンティーに固執していた。
一番女性が恥ずかしがる場所を隠している小さな布切れに興奮するのだ。

橘レイは、雨の日を除けば、毎日のようにブラジャーと揃いのパンティーを丁寧に手洗いし、干していた。 上下が揃っているのに、パンティーだけを盗まれては困るだろう。
そう思うと、やらずにはいられない。
それにしても、聡明そうな見た目とは裏腹に、結構な数のパンティーを盗んでいるのに毎日ほぼ同じような時間に、美しい装飾の上下揃った下着を干している。
少し頭が悪いんじゃないか?と、自分が盗んでいる事を余所に、下着泥棒はほくそ笑んでいた。
ある日には、盗ったパンティーの代わりに「いつもご馳走様」とメモを挟んでやった。

(第2章へ続く→)